これこそロータリーの職業サーヴィス
【永野良蔵氏が示されたロータリーのサーヴィス
-公益財団法人永野青少年育成基金財団一】
私ども甘木ロータリー・クラブの大先輩である永野良蔵氏(チャーターM、1972~73年甘木クラブ会長、1975~76年第6分区代理、平成2001年御逝去退会)が、甘木クラブ在籍中の1982年に(当時65歳)、自社株5億1千万円と現金1500万円をご夫人初江様
と共に提供され、「永野青少年育成基金財団」を設立されました。
【設立趣意書】
1.私共は、昭和21年当甘木市(旧朝倉郡甘木町)に木工家具の製造販売を目的とする事業を典し、以来今日までに互に相扶け合いながら、ひたすら事業の発展をめざして精励してきました。途中、幾多の困難に遭遇しましたが、それらを順次乗越えて前進を続けているうち、製品力の面において、業界を通じ広く全国の顧客に相応の信用と愛顧をいただける水準に達し、又、経営の面においても、無借金主義を旨とし自己資本の充実に留意してきた結果、相応の収益を安定的に維持し、500人に及ぶ従業員とその家族の生活を確保するに足りる基盤もどうにか備わるに至ったのではないかと考えております。私共は、事業家として、今日ここまで辿り得たことを誠に幸せに思うと共に、この私共の事業の形成の母体である当甘木・朝倉の地域社会に対し、改めて深甚なる感謝の念を抱くものであります。
2.さて、私共も、そろそろ現役を終わる年代にさしかかりましたが、事業の方は幸いにも、次の世代の者達がどうにか受継し維持発展してくれるとの目処も得ましたので、この際、事業を通じて私共に残りました幾許かの財産の一部は、事業の母なるこの地域社会への上途の感謝の念にかえて何らかの形で還元すべき時期に至ったと考え、かつそのように念願するものであります。
3.そこで、私共は、この私共の念願の是非及びその方法を広く地域の有識者にお諮りしたところ、皆様から全面的なご賛同を得、かつその方法として当該財産を公益財団法人設立のために寄附し、もって、地域のための然るべき公益事業のために活用してほしい旨の多数のご助言をいただきました。
4.さらに、その公益事業の内容について、昨今における青少年の置かれている家庭・学校・一般地域社会の諸環境の劣悪化領向を憂え、それら青少年の健全育成のための地域社会ぐるみでの各種事業の振興助成こそ焦眉の急務であるとする観点から、当該財団の目的をそこに置くことを切望するとのご意見が圧倒的でありました。私共も、それら青少年間題については、日頃から一国民、一地域社会人として、多大な関心をいだくと共に、年毎に進む学園の荒廃や一部青少年の非行化現象等にひそかな憂慮を覚え、後世のため、今こそ各地域社会ごとに官民一体となった各種改善運動を振興すべき時機に至っているのではないかと考えておりましたので、右の多数ご意見にわが意を得た思いを致 し、ここに、この甘木・朝倉地域における青少年の健全育成事業のため、ささやかな一助に資することができればと念じ本財団の設立を共々に決意した次第であります。
5.本財団としては、当地域における各種公共的団体や義務教育学校における青少年健全育成のための諸活動や青少年向優良図書購入のための資金援助という形を通じ、その公益性と有効性をより直截的に確保したいと念願するものでありますが、本財団の役員等としましては、当地域の住民の中から、人格識見ともに卓越し、かつ、上途の設立の趣旨を十分にご理解賜っている方々にご就任いただくべく、既にそのご内諾も得ておりますので、本財団設立の暁には、それら各位による公正妥当な運営のもと必ずや私共設立者の趣意沿うべき成果を納め得ることができるものと確信するものであります。
1982年11月12日 永野良蔵 永野初江(写真1)
設立時には永野初江理事の他理事6人、評議員6人も全員当時のロータリアンの面々が就任し協力されました。現在まで30年間、毎年株券の配当と預金利子(900万円~150万円)が青少年健全育成基金として使われ種々の財団活動が続いています。その30年間の育成活動は以下のように多彩を極めています。
まず「青少年教育事業」としては、甘木朝倉地域の小中学校、図書館や公民館などに図書や視聴覚教材(映画フィルム、ビデオソフトやDVDなど)を毎年寄贈し、ナガノ記念文庫として青少年に限らず地域住民にも親しまれ感謝されています。図書や視聴覚教材(映画フィルム、ビデオソフトやDVDなど)を毎年寄贈し、ナガノ記念文庫として青少年に限らず地域住民にも親しまれ感謝されています。この30年間に寄贈された図書は約3万冊(約4.200万円)にのぼります。(写真2)
また「青少年活動事業」としては①最重点事業である「少年の船事業」(後に甘木朝倉フレンドシッブ事業)が30年間にわたって行われ、それに参加した青少年の団員は5.351人、指導者は800人にのぼります。この事業には、7,716万円の基金がつぎ込まれました。(写真3)②甘木・朝倉チビッ子ソフトボール大会援助。(写真4)③ボーイスカウト援助。(写真5)④柔道大会(写真6)、ポーン太の森自然冒険塾(写真7)、甘木盆俄保存公演(写真8)など地域の種々の青少年活動にたいする援助がなされてきました。30年間の援助合計は、約1億6000万円になります。永野良蔵氏が亡くなられた後の財団の理事長には、長女の井上宏子様が就かれ父親の意志を継いで立派に運営されています。2013年4月1日から「公益財団法人」になりました。世代は変わりましたが、現在でも6人の甘木クラブロータリアンが、役員としてこの財団の運営に尽力しています。
これこそはロータリーの「奉仕の理念」 の最も中心をなす職業サーヴィスの理念(One profits most who serves best)の範となるものであります。その職業サーヴィスによってきたる報酬から、地域の青少年育成のために莫大な資産を提供し、社会サーヴイス(Community Service) に尽力されているのです。地域において青少年の凶悪な犯罪が余り見られないのは、このような永野財団に始まる他の多くの青少年育成活動が大いに寄与して、穏やかな地域となっているのではないかと推察されます。
私ども甘木クラブの大先輩ロータリアン永野良蔵氏が、広くロータリアンにロータリーの奉仕(サーヴィス)は如何ににあるべきか、職業サーヴィス(Vocational Service)とは、社会サーヴィス(Community Service)とはいかなるものかを示されたものであります。「ロータリーの目的」に「ロータリアン1人1人が、個人として、また事業および社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること」とあるように、後に続く私たちも永野良蔵氏の志を固く心し、世のため人のために役に立つよう、各自が思い思いのI Serveに努めていきたいものです。
(文責:公益財団法人永野青少年育成基金財団評議員 甘木ロータリー・クラブ会員・ 富田英壽・2013.6.20)